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【読書メモ】田山花袋『蒲団』、気持ち悪いどころか萌えた【変態文学】

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田山花袋の『蒲団』を読み返しました。 

蒲団

蒲団

 

昔は「あー変態やな」とさほど感銘を受けず軽く流して読了したのですが、
今日なんとなく読み返していたら、めちゃくちゃ萌えて最後まで一気に読んでしまいました。

 

【こんな人におすすめの本】

  • 妻子がいるけど、若い女の子と恋がしたくなる時がある
  • 報われない恋に悩んでいる
  • 読みやすい文学を探している
  • 30代既婚男性の気持ちを理解したい

【嗜好キーワード】

  • 文学独特の薫風
  • 師弟恋愛
  • 三角関係
  • 禁断の恋、報われない恋
  • 神戸ファッション、レトロ、ハイカ
  • 上京
  • においの演出
  • 恋愛vs家庭
蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)

蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)

 

 

男性主人公のねっとりとした苦悩に萌える

超乱暴なまとめかたをすると、『蒲団』は
主人公(30代・妻子持ち)が新しい弟子(20代・神女ガール)にホレて、弟子と弟子の彼氏が間違いを犯した・犯していないで悶々する話です。

冒頭から最後までとにかく悶々してはります。

最初の方は、自分は妻子持ちで師弟関係だから手を出してはいけないということに悶々していたのですが、
そのうち弟子に彼氏ができてさらに悶々します。

三十五六歳の男女の最もあじうべき生活の苦痛、事業に対する煩悩ぼんのう、性慾より起る不満足等がすさまじい力でその胸を圧迫した。芳子はかれの為めに平凡なる生活の花でもあり又かてでもあった。芳子の美しい力に由って、荒野のごとき胸に花咲き、び果てた鐘は再び鳴ろうとした。芳子の為めに、復活の活気は新しく鼓吹された。であるのに再び寂寞せきばく荒涼たる以前の平凡なる生活にかえらなければならぬとは……。不平よりも、嫉妬しっとよりも、熱い熱い涙がかれのほおを伝った。

 

で、ラストの変態性が「気持ち悪い!」と評判なんですが、
正直私は「こんな風にねっとり愛されたいもんやわ…」と萌えました。

むしろ現実の恋愛が淡白すぎでしょう…「熱烈」という言葉に飢えている方はぜひ『蒲団』をチャージしてくだされ…。

 

弟子の芳子ちゃんが良い

女主人公で弟子の芳子ちゃんは、上述のように神女(神戸女学院)のハイカラ垢抜けガールです。

男主人公・時雄の弟子になるために東京に出てきたのですが、東京の街中でも目立つ垢抜け感に「素敵!」となることでしょう。

▼そして時雄のこのフレーズが非常に好き。

イカラな新式な美しい女門下生が、先生! 先生! と世にもえらい人のように渇仰して来るのに胸を動かさずに誰がおられようか。

私もセンスを磨いて「ハイカラ」を目指そうではないか…。

▼冒頭の美しいフレーズもたまりません。

洋燈ランプの光あきらかなる四畳半の書斎、かの女の若々しい心は色彩ある恋物語あこがれ渡って、表情ある眼は更に深い深い意味をもって輝きわたった。ハイカラな庇髪ひさしがみくし、リボン、洋燈の光線がその半身を照して、一巻の書籍に顔を近く寄せると、言うに言われぬ香水のかおり、肉のかおり、女のかおり――書中の主人公が昔の恋人に「ファースト」を読んで聞かせる段を講釈する時には男の声も烈しくふるえた。

 

ということで、『蒲団』のラストは気持ち悪いか萌えるか分かれるでしょうが、「ハイカラ」感や文学の師弟関係、ぬめぬめとした心理描写が非常に良い作品です。

蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)

蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)